購買選択の心理学の評判/口コミ/感想について教えて下さい

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カスタマーレビュー1

    92レビュー       おすすめ度
星5つ:★★★★★(58)    ★★★★☆92件のカスタマーレビュー
星4つ:★★★★☆(34)      書籍名:購買選択の心理学
星3つ:★★★☆☆(0)
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※原書のレビューを紹介しています。

評価が高い有用性のあるレビュー      評価が低い有用性のあるレビュー

342人中、325人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

★★★★★ 仕事の選び方やキャリアの選択など購買に限らず意思決定に関し洞察あふれるアイデアを教えてくれる良書。

これは読者の目を見開かせてくれる一冊。人々がどのように意思決定をするのか、どのようにティッピングポイントが生まれ、流行がはじまるのかなど、鋭い洞察から明確に教えてくれる。私はちょうど著者のバリー・シュワルツがこの本の内容に関して、テレビやラジオでインタビューを受けているのを聞いたことがある。インタビューの内容は、確か「ショッピングなどの意思決定」に関するテーマだったと思う。そのインタビュー内容を簡潔に言えば、現代では、あまりに選択肢が多いため、顧客は買い物が…

投稿日: 2004/01/13 投稿者: Book Lover

対

40人中、39人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

★★★★☆ モノを売る側の人間は顧客をより理解し、買う側の人間はより優れた意思決定で自身の満足度を上げる方法。

10年か、12年前ぐらいにロシア人がアメリカに移民としてやってきた頃、スーパーマーケットでものを買うのに一苦労していたという話を聞いたことがある。まずはシリアルか、それともシリアルではないかという選択を覚える。シリアルの選択に慣れると、次はフレークか、パフか、ポップコーンか、加糖か無糖か、オーツ麦か、小麦か、米か、ホットかアイスか。といった具合にあまりに多くの選択肢にぶち当たり、身のすくむおもいをしたという。本書の著者バリー・シュワルツによれば、このロシア人移…

投稿日: 2005/11/15 投稿者: takingadayoff

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342人中、325人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★★ 仕事の選び方やキャリアの選択など購買に限らず意思決定に関し洞察あふれるアイデアを教えてくれる良書。
2004/01/13 By Book Lover
レビュー対象商品: 購買選択の心理学

 これは読者の目を見開かせてくれる一冊。人々がどのように意思決定をするのか、どのようにティッピングポイントが生まれ、流行がはじまるのかなど、鋭い洞察から明確に教えてくれる。

 私はちょうど著者のバリー・シュワルツがこの本の内容に関して、テレビやラジオでインタビューを受けているのを聞いたことがある。インタビューの内容は、確か「ショッピングなどの意思決定」に関するテーマだったと思う。そのインタビュー内容を簡潔に言えば、現代では、あまりに選択肢が多いため、顧客は買い物が難しくなっている。また買い物のプロセス自体が嫌いになってしまうということ。

 そんな時代にあって「購買選択の心理学」を読めば、顧客として洞察力をもって買い物ができるようになる。もちろん、買い物における意思決定に留まらない。バリー・シュワルツは、仕事の選び方、家族や生活場所の選択、子供を持つか否か、余暇の過ごし方、大学やキャリアの選択、といった判断が難しい意思決定に関しても洞察あふれるアイデアを教えてくれる。

 著者いわく、今日における意思決定は、30年前のそれよりもずっと難しくなっているという。その理由についても語っている。あらゆる意思決定に対して、ストレスを減らし、幸福を増大させるための実践的なアドバイスを数多く教えてくれる。

 例えば、子育ての面でいえば、選択肢を増やすことが子供にどのような影響を与えるのか。両親が子供のの幼年期(特に小さい子供)のストレスをいかにして軽減することができるのか、その方法も書かれている。

 個人的にこの本が有意義だと思う要素として次の2点が挙げられる。

 一つ目は、著者のバリー・シュワルツの主張やアイデアが全て研究に裏付けられているものだということ。著者は研究者であるため、たしかに読み物として完璧な出来ばえではない。一方で、彼が語る全ての主張や議論において、研究者としての裏付けがされている点で非常に説得力がある。

 また、優れたアプローチで研究をすすめているせいか、物事の本質に迫り、紹介される一つ一つ主張やアイデアと、その研究の関連性がよく理解できる。加えて著者が語る理論は、意思決定に関する最新かつ高度な調査に基づいたものであるとわかる。自己啓発系書籍の“第一人者(と呼ばれるような輩)”が事実や裏付けに欠ける不完全なアイデアをとうとうと喋るような本ではない。

 もう一つが、新たな考え方や視点を与えてくれたという点。バリー・シュワルツは以前、今日のアメリカのある面について痛烈に批判するような書籍を書いている。そういう意味で、この本はよりパーソナルに、個人に向けて問題提起をしている一冊でもあると思う。読了後、選択肢の増加問題が私たちの文化にどれだけ多大な影響を及ぼしているのか、を考えずにはいられない。

 私自身、最近転職を経験したのだが、転職前にこの本を読んでいれば、もう少し良い判断や意思決定ができたのでは?と思っている(相当悩んだので、私を救う一冊になっていたことは間違いない)。完全に良書。

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40人中、39人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★☆ モノを売る側の人間は顧客をより理解し、買う側の人間はより優れた意思決定で自身の満足度を上げる方法。
2005/11/15 By takingadayoff
レビュー対象商品: 購買選択の心理学

 10年か、12年前ぐらいにロシア人がアメリカに移民としてやってきた頃、スーパーマーケットでものを買うのに一苦労していたという話を聞いたことがある。まずはシリアルか、それともシリアルではないかという選択を覚える。シリアルの選択に慣れると、次はフレークか、パフか、ポップコーンか、加糖か無糖か、オーツ麦か、小麦か、米か、ホットかアイスか。といった具合にあまりに多くの選択肢にぶち当たり、身のすくむおもいをしたという。

 本書の著者バリー・シュワルツによれば、このロシア人移民と同様に私たちも日々の生活の中で非常に多くの選択肢に圧倒されているという。

 誰ひとりとして例外ではない。服を買うことやレストラン選びに関心がなくても、テレビのチャンネルや読書する本には興味があるかもしれない。もちろん、クッキーを選ぶか、どのジーンズを選ぶか、といったこの手の選択は現実世界ではさほど重要ではないかもしれない。でも、どういった医療プランを選ぶのか、どういった大学を選ぶのか、といった選択は極めて重要な意思決定となる。こういった重要な意思決定を目の前にして、人間はどのようにして判断を下すのか。

 バリー・シュワルツは人々が下す意思決定や、ものごとの選択方法をあらゆる角度から分析している。例えば、人々を「追求者」と「満足者」という二つのグループに分ける。どんどん増えていく選択肢の中から最高だと思われるものを選ぶ人がいる一方で、最初に自分が持つ基準に合ったものを選択し、その選択に満足する人もいる。 

 本書「購買選択の心理学」の冒頭部に書かれていた意思決定の話はとても楽しく読ませていただいた。後半は、意思決定への後悔や憂うつになってしまうメカニズムについても触れているが、こちらも興味深い内容になっている。

 モノを売る側の人間は顧客をより理解すること。そしてモノを買う側の人間は、より優れた意思決定をすることで、自身の満足度を上げる方法を見つけることができる本。

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171人中、147人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★★ 購買選択の心理学は人々が下す決断の中身やその習性を詳細に扱った、興味深く、情報満載の素晴らしい本。
2004/01/10 By Robert G Yokoyama
レビュー対象商品: 購買選択の心理学

 この本をとても楽しく読ませてもらった。社会の中では一定のルールや制約を持たせることは良いことであり、受け入れるべきこと。この考え方が、この本の中では重要になる。

 「購買選択の心理学」には人々が決断に至る様々な方法が説明されている。また、世界中に数多ある選択肢の中から意思決定することのネガティブな面についても語られている。本書の最後には、より良い選択をし、ストレスを軽減させる方法についてもアドバイスしてくれる。

 著者のバリー・シュワルツは、この本の中で意思決定に関して多くの優れた主張を展開している。その一つは、「提示される選択肢が増えると、世間に流れている情報全てをチェックして最善の選択をすることは必ずしもできない」ということ。その他にも、人々が自分に合った決断を期待している、というアイデアも非常に興味深かった。例えば医療分野でいえば、患者は医者に必要な治療が何なのかを教えてもることを期待している。

 また、この本を読み、私たちの誰もが「追求者」ではなく「満足者」になる努力をしなければならないことを学んだ。満足者とは、十分良い製品やサービスを選ぶ人のこと。一方で、追求者とは、常に最高の製品やサービスを手に入れようとする人のこと。満足者はたいていの場合、自分自身の選択に満足している。一方で、追求者は、自身の選択に満足することなく、購入した製品やサービスについて後悔することが多いという。

 私たちは自分の下した選択にこだわり、気持ちを変えるべきではない。この本の中で、意思決定や選択に関して、不安やストレスを軽減する方法を学んだ。常にそういう冷静な判断をするのは難しいかもしれないが、それでも優れたアドバイスだと思う。また、私はpicker(そのときの気分や感覚で選ぶ人)ではなく、chooser(自分の好きなものをよく考えて選ぶ人)になるという考え方も気に入っている。後者のchooserは、意思決定に関してあらゆる選択肢を考慮に入れて決断する時間をとる。一方、前者のpickerはそのような時間を使わない。

 「購買選択の心理学」は人々が下す決断の中身や、その習性を詳細に扱った、興味深く、情報がたくさん詰まった素晴らしい一冊。人生における不安を緩和する方法を知ることができるという点でも非常に有益なヒントが数多く紹介されている。

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22人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★☆ 意思決定にまつわる心理学や消費社会における幸福(不幸)について分かりやすく教えてくれる魅力的な本。
2005/03/06 By Steve Koss
レビュー対象商品: 購買選択の心理学

 1979年にジミー・カーター大統領は、国家的不定愁訴(ふていしゅうそ)演説と呼ばれる歴史的な演説をして米国は国家としての自信を失っていることをさらけ出し、激しく風刺された。ただ、今日においては、誰もがその事実を認めているように思う。

 アメリカの国内総生産はここ30年のあいだに2倍になったが、自分自身が「非常に幸福である」とするアメリカ人の数は減っている。うつ病の発生率は増加しており、14歳未満でうつが原因で医者にかかったことのあるアメリカ人は、全体の約7.5パーセントの上っている。この統計は10年前の2倍だ。

 小学校やコロンバイン高校で子供が子供に発砲する事件もあった。離婚率も上昇し、うまくいく可能性よりも破局する例が多くなっている。また、ダイエット本が毎年5,000万部を売り上げるとともに、拒食症や過食症も増えている。モノがかつてないほどたくさんあるこの時代に、アメリカ人は非常に不幸であるといえる。

 「購買選択の心理学」の中で著者のバリー・シュワルツは、こういった不安を助長する要素の一つに“過剰な選択肢”の存在があると説明する。親しみを持ったくだけた文章から、どちらかと言えば学術的な文章を使い(それでも難解なものではないので安心して欲しい)、心理学者の視点からこの問題を分析している。

 彼は選択肢があり過ぎるのは良くないと強く主張している。少なすぎるよりも悪く、全く選択肢が存在しない場合と同じ結果になることもあるという。実際、私たちは日々の生活の中で数多くの選択肢に直面している。ハミガキのブランド、シリアルのブランド、車やコンピュータ、電話プラン、休暇の過ごし方、テレビのチャンネルに至るまで。あらゆるものに数多くの選択肢が存在している。

 生活のあらゆる面で多数の選択肢が存在すると、バリー・シュワルツが「追求者」と呼ぶ、“あらゆる決断に対して常に最善の選択を求める人たち”の気持ちが麻痺してしまうという。非常に長い時間を意思決定に費やし、決断を下した後も決して満足することはない。

 というのも、新たな選択肢が提示されたり、選択したものが期待に合わなかったり、他のものと比較したり、順応効果によってやがては自然に満足度が薄れていってしまうためだ。より幸福感を感じるのは、十分な結論に満足している「満足者」だが、それでも、「追求者」同様に精神的な失望に悩むことがあるという。

 「購買選択の心理学」の各章では、選択肢が過剰に存在することの様々な面を検証している。バリー・シュワルツは私たちに、一見難しそうな用語もいくつも紹介してくれるが、彼の明確な説明と、役立つ事例、調査研究に裏付けられた参考資料が補足してくれるので、読者は彼のアイデアや主張を深く理解できると思う。心理学の学位を持っていない私のような読者のために、著者は親切なガイドラインを用意してくれている。意思決定にまつわる心理学や消費社会における幸福(不幸)について魅力的な本の旅にいざなってくれる。

 この本には考えさせられる部分が数多くあったが、少し注文をつけるとすれば、多少繰り返しが多く、説明が過剰な部分も見受けられた。この点が解消されれば、本書はより良い一冊になると思う。

 選択肢が増えることで満足度が下がる。その理由を理解したい読者のために、この本は考える材料を提示してくれる。モノがあふれるこの時代で、購買(それ以外も)選択における心理学を理解する本としては、本書「購買選択の心理学」は優れた一冊。仏教徒は2,500年以上も前から、モノを所有することは、人間の苦しみの主たる根源であることを知っていた。バリー・シュワルツもこの本の中でその内容を詳細に教えてくれる。

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28人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★★ 追求者は究極を求めるがゆえにあらゆる選択肢を試し、常に最高のモノを手にしているかどうか不安を抱く。
2004/03/03 By Kyle Lassiter
レビュー対象商品: 購買選択の心理学

 著者のバリー・シュワルツ博士は人が購買や意思決定時に思う「最高」と「十分に良い」との違いを本書の中で明らかにしている。

 本書で紹介される「追求者」に属する人々は、究極を求めるがゆえにあらゆる選択肢を試す。そして常に最高のモノを手にしていないのではないか?という不安を抱くという。こういった人々は、あらゆる選択肢を網羅しようとすることで、通常よりも意思決定に長い時間を費やし、フラストレーションのもととなる。

 一方で「満足者」とは、選択肢をチェックし、十分良いと思われるものを選ぶ人たちのこという。「追求者」の人々は「満足者」の人々を見て、「面倒くさがっているか、妥協しているかのどちらかだよ」と言う。

 しかし、バリー・シュワルツ博士は「満足者」に属する人々は、そうではなく自分自身の(高い)基準を持ち合わせているという。「満足者」はその基準に照らし合わせて意思決定をする。一方で、「追求者」は自分自身の基準をチェックするのではなく、自分が持っているものが他者より優れているかどうかを把握するために他者をチェックする。こうした社会的な比較をすることで、「追求者」の人々は不幸になりがちだと指摘する。

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23人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★★ 人は選択肢について知れば知るほど現実には満たされなくなる。知るほどに全てを手にできないと思うから。
2004/06/16 By Richard Nelson
レビュー対象商品: 購買選択の心理学

 この本のタイトル(原書のタイトルは『The Paradox of Choice: Why More Is Less』)を聞いただけだと、その内容を直感的に理解するのは難しいかもしれない。ただ、2ページ目まで読み進めれば、すぐにこの本が何を言いたいのか掴めると思う。

 著者のバリー・シュワルツは一見すると内容が薄いように思われる本の中で、驚くべき話やアイデアを数多く読者に提供してくれる。タイトルや本書の冒頭で語られる内容はその一端にすぎない。科学技術が発展を続け、生活は楽になり、豊かさを感じるはずなのに、一向にその気配は感じられない。その理由をパラドックス(逆説)として説明している。

 選択肢がありすぎることは、意思決定に非常に長い時間を費やさなければいけないことを意味する。そうやって人々は神経をすり減らしている。以前はもっと簡単に判断できたし、選択の余地もなかったはず。
 例えばバリー・シュワルツはジーンズを購入する場面を例にとって話を始めている。スリムフィット?スリムフィット、イージーフィット、リラックスフィット、バギー、エキストラバギー、ボタンフライ、ジップフライ、フェードブルーとレギュラーブルーなどなど。同様の問題は電話のサービスやプランを選ぶ際にも起こりえるかもしれない。

 住む場所、結婚相手、食べていくための仕事選びなど、生活のあらゆる面で、私たちは数多くの選択肢に直面している。そして、それらの選択肢は、全てを吟味して選ぶ時間がないほどに拡大している。人々はそういった選択肢を目の前にして、選択後に後悔したり、不平不満を言ったり、そもそも何も選ばない時もある。あらゆる選択肢を吟味して、一つだけを選ぼうとすると心が麻痺してしまうこともある。また、気に入ったはずの選択肢が後になって魅力が薄れていくケースもある。

 人生の中で、私たちは選択肢の性質を判断して意思決定をする。家から遠く離れた町での将来性ある良い仕事か、あるいは家から近い場所にある将来性の低いそこそこの仕事なのか、など。選択肢について、よく考え、よく知ろうとするのではないだろうか。

 しかし、著者のバリー・シュワルツは人は選択肢について知れば知るほどに、現実にどんどん満たされなくなるという。選択肢について知れば知るほど、人はその選択肢における良い面全てを手にできないと思う生き物だから。

 こういった状況と上手く向き合い、問題を対処する方法をこの本は教えてくれる。心理学者である著者の本は、読み物として完璧ではないかもしれない。それでも、現代生活で大きな役割を果たすテーマについて、魅力的に知識やアイデアを教えてくれる。

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37人中、32人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★★ 選択肢が多いのは良いこと。増えるほどに幸福度も増加する。ただ、増加した幸福度はその後低下し始める。
2006/09/26 By Dr A
レビュー対象商品: 購買選択の心理学

 人生において選択肢があるのは良いこと。選択肢を持たない人というのは、往々にして惨めなもの。選択肢が増えれば増えるほど、私たちの幸福度も増加する。でも、増加した幸福度はその後低下し始める。

 選択肢があり過ぎることはストレスを生む。著者のバリー・シュワルツは地元のスーパーマーケットに行くときを例にこう描写している。クラッカーの隣にはクッキーが285種類。チョコレートチップクッキーを選ぼうとすれば、21種類も選択肢がある。通路を挟んだ向かい側にはジュースが並んでいる。ジュースには13種類のスポーツドリンクと、子供向け飲料が65種類。その他の味やブランドのジュース、そしてアイスティーや成人向けの飲み物が75種類。アイスティーの中にも加糖(砂糖または人工甘味料)、レモンティー、フレーバーティーといった選択肢が溢れている。

 ドラッグコーナーには日焼けオイルと日焼け止めが61種類。様々な鎮痛剤が80種類。アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン。350ミリのものと500ミリグラムのもの。カプレット、カプセル、そして錠剤。コーティングされたものとそうではないもの。歯磨き粉の選択肢は40種類。口紅は150種類。アイライナーは75種類。一つのブランドだけでネイル除光液が90種類。

 選択肢が幅広く存在することは確かに魅力的だが、著者のバリー・シュワルツは数多くの選択肢を目の前にした際の「自由の暗黒面」と呼ぶ“選択のストレス”について考察している。このパラドックスは金融市場において最も顕著だという。

 あなたは株式投資をするだろうか。先物取引をしたことはあるだろうか。あるいはオプション取引は?株式であれば、ニューヨーク証券取引所で成熟株の売買をするのか。それともナスダックで急上昇しそうなリスクある投資先を探すのか。農産物の先物取引をするべきか、熱帯産果実の先物取引をするべきか。あるいは金融先物取引をするべきなのか。

 外国為替はどうだろうか。オプション買いやコールオプションは利用しているだろうか。あるいはスプレッドのようにより複雑な戦略を調べてチャレンジしてみるべきだろうか。これでは、この手の市場で取引をするトレーダーのほとんどが強いストレスを抱えているのも不思議ではない。

 「何かを選択すれば、常に他の価値あるものを諦めることになる。選択肢が過剰になれば、不満が出てくる」著者のバリー・シュワルツはこう言っている。

 失うということは、何かを手に入れることで得られる満足以上に苦しみが大きい。何かを選択することで、本来であれば買う余裕のあった様々な選択肢を手にする機会を犠牲にする。この心の葛藤があるゆえに、人々は決断を避けようとする。精神的な不快感から、良くない決断をしてしまう。後悔を避けたいと思うがゆえに、“何もしないという選択”をする。過剰な選択肢はこうやって、不満を起こす。

 またバリー・シュワルツは、常に最高のものを手にしようとする「追求者」というカテゴリの人々と、妥当なレベルでの成功に甘んじる「満足者」というカテゴリの人々についても言及している。この分け方や、対策については非常に興味深かった。

 私は会社を経営しているので、自分自身のビジネスに関連付けながら、あれこれ考えてしまった。どれほど多くの成功者が、自分の行為が気に入らず後悔するのか。また、埋没費用が出たために、非常に長くビジネスが不振に陥ってしまう人も数多くいる。

 バリー・シュワルツは、「反事実的条件文」である coulda-shoulda-woulda(~したかもしれない、~すべきだったかもしれない、もし~だったら、しただろうに)の流れは終わることはないという。ただ、たとえそうであっても、例えば自分の下した決断を常に記録しておく。そうすることで、たらればを考えがちな人でも、意思決定に対する姿勢に変化が現れるという。優れた記録をつけ続けることが、経営者としても成功するための重要な要素の一つなのかもしれない。

 バリー・シュワルツ教授が語る本書は、非常に親しみやすく、知性に溢れるご近所さんのような語り口で重要なテーマについて分かりやすく教えてくれる。本書を読むことで多くの学びを得ることができる。もちろん、より良い選択をすることができるようにもなる。

 10章までのあいだに問題の要点を述べ、10章以降では彼の提案する解決法について紹介される。10章にたどり着くまでに、読者は彼の提案する解決法が知りたくなるはず。著者のアドバイスは明解かつ論理的でためになる。

 この本をあらゆる経営者に強くおすすめしたい。ひとつだけあら探しをするとすれば、本の紙質(米国版ペーパーバック)が気になった。それ以外は、総じておすすめの一冊。

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30人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★★ 購買選択の心理学やコンセプトは投資やトレードを行う人にとって、素晴らしいガイドラインもなると思う。
2005/01/26 By Thomas Mongle
レビュー対象商品: 購買選択の心理学

 バリー・シュワルツの「購買選択の心理学」は、そのタイトル(※原書のタイトルは『The Paradox of Choice』)から、私たちにとって選択することが必ずしも良いことではない、というテーマだと分かる。

 彼は今日におけるアメリカの状況を、初めてニューヨークのマンハッタンを訪れた小さな町出身の住人が、あらゆる行動(選択肢)に圧倒される例を挙げて説明している。著者の調査や研究のほとんどは金融市場や投資以外から行われているが、著者のコンセプトは何らかの投資を行う人にとって、素晴らしいガイドラインにもなっていると思う。

 本書では「選択肢がもっと多いほうが良いかどうか」という議論がされているが(個人的には明らかに選択肢が多いほうが良いように思える)、それよりも「“数多くの製品から選べる自由”にどのように対処するのか」というアドバイスが投資に関わる人間、トレーダーにとって役立つ。この手の問題に対するアドバイスとしては、最も論理的かつ分かりやすく紹介されていると思う。

 この本の冒頭で著者は、私たちには生まれつき選択肢に対処する能力が備わっていないこと。そして、それがゆえに個人的な問題、職業上の問題、心理的な問題といった様々な問題が引き起こされると述べている。この本の中で特に重要な点が、こういった問題に適応し、うまく付き合っていく方法を教えてくれる点にあると思う。

 著者が教えてくれる解決法は、訓練と自制心を要する。これを投資に置き換えれば、新しい考え方を持って、優れた投資に必要な訓練と自制心を備えるとも考えられる。

 どんどんと複雑さを増していく現代において、数多ある選択肢に立ち向かうための素晴らしい講座でもある本。バリー・シュワルツの次回作では、ぜひ投資の世界における意思決定をテーマにして欲しい。そのための下地作りは既に本書の中で完了している。

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15人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★★ 選択肢があるのは全くないよりも良い。ただし、ある一定値を超え過剰になるとネガティブな影響を及ぼす。
2005/07/29 By The Nerd
レビュー対象商品: 購買選択の心理学

 これは素晴らしい一冊。著者のバリー・シュワルツは、ある意味、私たちの社会に存在する聖域をぶち壊そうとしているのかもしれない。選択肢があればあるほど、人は豊かで幸せになるという理論に一石を投じようとしているのでは?とも思う。

 選択肢が多すぎることは、心理的な負荷を生む。著者の主張は「選択肢があるのは良いことであり、全く選択肢がないよりも良い。ただ、ある一定のラインを超えて選択肢が過剰になってしまうと、肉体的にも精神的にもネガティブな影響を及ぼしてしまう」という。

 本書を読み進めると、こういった問題に対して、著者が提唱する次のような対処法が分かる

1.たとえ選択の自由があったとしても、自主的に規制やルールを設けたほうが幸福度は高まる。

2.意思決定をする際には「最高の物」を追求するのではなく「十分良い物」を探すべきである。

3.決断に対する結果は、あまり期待しすぎないこと。

4.下した決断を覆さないこと。

5.他者の行動に注目しすぎないこと。

 冒頭から持論を展開したあと、著者のバリー・シュワルツは次からの40ページを割いて、文化が進むにつれて生活のほとんどの分野で選択肢が大きく増加したこと。そして、この選択肢の増加がすすむにつれて人々の生活に悪影響が出てきたことを説いている。個人的には、この説明は少々長すぎるように感じたので、半分くらいのページ数にまとめて欲しかった。まぁ、そうはいってもこの本はこの辺りから素晴らしくなっていく。

 総じて、この本は実験データに忠実に書かれており、非の打ち所のない理由付けもなされている。そして結末はあっと驚くものになっている。読者の考え方を大きく変えてしまう一冊。汝自身を知れ。

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32人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★★ たとえ選択の自由があったとしても、自主的に規制やルールを設けたほうが幸福度は高まる。
2006/11/06 By Craig L. Howe
レビュー対象商品: 購買選択の心理学

 私たちはおびただしい選択肢が存在する時代に生きている。世の中が繁栄するにつれ、あらゆる可能性や選択の幅も大きくなる。でも、欲しいと思ったものを手に入れたとき、何かが欠けていることに気付くことも多々ある。

 著者であり、スワースモア大学の教授バリー・シュワルツは、本書「購買選択の心理学」の中で、心理学や経済学、市場調査によってもたらされた研究結果を引用し、反直感的ともいえる5つの議論を展開している。以下のようにすれば、意思決定をする私たちの満足感はより高まるという。

1.たとえ選択の自由があったとしても、自主的に規制やルールを設けたほうが幸福度は高まる。

2.意思決定をする際には「最高の物」を追求するのではなく「十分良い物」を探すべきである。

3.決断に対する結果は、あまり期待しすぎないこと。

4.下した決断を覆さないこと。

5.他者の行動に注目しすぎないこと。

 著者によれば、私たちは、絶えずなんらかの選択をするよう求められているという。重要な事柄から、些細なことに至るまで。このため、私たちは意思決定に際して、時間と労力を投資することを余儀なくされる。結果として自信を失ったり不安になったりする。選択肢があるということは人を自由にしているというよりも、むしろ自由を奪っているのだという。優れたモノが世の中に過剰にあふれることによって、心の健康を阻害してしまうことも。

 本書の最後には、こういった選択や意思決定の問題を対処するための11ステップのプログラムが提供されている。

1.選ぶべきときに選ぶこと。

2.pickerでなくchooserとなること。

3.満足度は高く、追求度は低く。

4.機会費用を考慮すること。

5.決断を覆さないこと。

6.「感謝の姿勢」をとること。

7.後悔はあまりしないこと。

8.慣れることを予測すること。

9.期待をコントロールすること。

10.社会との比較は避けること。

11.制限を好むようになること。

 バリー・シュワルツの著書を読めば、選択肢は少ないほうが良いことが分かる。

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購買選択の心理学

商品詳細
2014-10-07 | Posted in 未分類No Comments » 

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