いいねを集める技術 デイブ・カーペン

マーケティング本 > ビジネス書 人気ランキング > いいねを集める技術 デイブ・カーペン

いいねを集める技術_0

いいね!を集める技術

クチコミ心理を紐解く新ソーシャルマーケティング(デイヴ・カーペン著)

Likeable Social Media: How to Delight Your Customers, Create an Irresistible Brand, and Be Generally Amazing on Facebook (And Other Social Networks)

(90日間返品保証付・通常配送無料)

「なんと、常識はもはや常識ではない。デイヴが手ほどきしてくれるのは(悲しくもありがたい)デジタルの世界で人間らしくある術だ」

セス・ゴーディン(『「紫の牛」を売れ!』著者)

「数あるソーシャルメディアでいかにして顧客と真のエンゲージメントを結び、ブランドの人気を確立していくか。デイヴ・カーペンのインサイトと明確なハウツーは実に素晴らしい」

ジム・マッキャン(1-800-Flowers.com創業者)

クチコミ心理を紐解く、新ソーシャルマーケティング。

 ラスベガスで当時評判だったホテル《アリア》のチェックインの列に、私は1時間近く並んでいた。2010年6月、ニューヨークから飛行機で6時間かけて、ようやくたどり着いた先でのことだ。人生の貴重な1時間を並んで過ごすほど最悪なことはない。苛立ちが募り、ブラックベリー端末を引っ張りだしてツイートした。「ベガスのホテルはあり得ない。アリアのチェックイン1時間待ち」。

 すると興味深いことに、当のアリアからは何も言ってこないのに、ちょうど2分後、競合ホテルから返信があった。《リオ・ラスベガス》というところだ。この話をすると、たいていの人が今のあなたと同じ反応を見せる。「リオはなんて言ってきたんだい?『ぜひこちらへ。お待たせいたしません』とか?」。

 そんな返信だったら、こいつはストーカーか、それとも人の不運につけこむ悪徳業者かと、私も嫌な気分になっただろう。だが、事実はまるで違っていた。リオ・ラスベガスは次のようにつぶやいたのだ。
「お気の毒に、デイヴ。残りのラスベガス滞在は順調にいきますように」
 さて、次にラスベガスに行ったとき、私はどこに泊まっただろうか。

いいねを集める技術1

つぶやき1つで600ドル稼ぐ。誰が見ても立派なROI。

 リオはソーシャルメディアを使って耳を傾け、反応し、正しいときに正しい人に対してささやかな共感を示した。こうしたケースでは、広告やプッシュ型のマーケティング・メッセージ(※広告主側から発信する形態の広告)は効かない。傾聴し、反応し、共感する能力が同ホテルに成功をもたらしたのだ。

 リオはつぶやき1つ、メッセージ1つで私の注意を引き、次回の滞在先に関する意思決定の中に入り込み、600ドルを稼いだことになる。誰が見ても立派な投資利益率(Return On Investment:ROI)だ。しかも、話はこれで終わりではない。

 実際にはまだ足を踏み入れてもいなかったのだが、私はFacebookでリオのページ[Facebook.com/RioVegas]にアクセスし、「いいね!」ボタンをクリックした。これでリオの顧客第一主義を私が認めたということが友達3,500人の、そして世界中の知るところとなったのである。

1つのツイートや「いいね!」が数千ドルを呼び込む。

 数ヶ月後、友達の1人であるエリンが年末年始休暇をラスベガスで過ごそうとホテルを探していて、私にFacebookメッセージを送ってきた。「こんにちは、デイヴ。あなた、リオのページに『いいね!』をしてるでしょ。新年はそこで迎えようかと考えてるんだけど、どう思う?」。

 友達の推薦はどんな広告よりも強力だ。エリンもリオを選び、一族10人を引き連れて宿泊した。リオに関する私のツイートや「いいね!」を目にして影響を受けた人は、間違いなく他にも何十人といる。1つのツイートが1つの「いいね!」につながり、何千ドル分ものビジネスを呼び込んだのである。

 満足した顧客は自身の素晴らしい体験を3人に話し、不満を抱いた顧客は自身のひどい体験を10人に話すと言われてきたが、今は違う。アリアとリオにまつわる私の体験からもわかるように、満足した顧客だけでなく不満を抱いた顧客も、ほんの何度かクリックするだけで、そのサービスや製品について感じたことを何千人にも伝えることができる。

 すべてはソーシャルメディアと、バーチャルなお墨付きを与える「いいね!」ボタンのおかげである。リオはアリアと違い、この事実をうまく使って恩恵を教授したわけだ。

最も素晴らしく、純粋で、効果の高いマーケティング。

 始まりはアダムとイヴだった。イヴがアダムに言った。「このりんごを食べてごらんよ」。この世で初めてマーケティングのインタラクション(※相互交流、相互作用)が行われた瞬間である。実に単純で効果的な言葉が信頼に足る人の口から出て相手の耳に入り、金銭こそ伴わないものの、「取引」が成功裏に完結した。

 何千年も前に始まったクチコミマーケティングは今でも最も素晴らしく、最も純粋で、最も効果の高いマーケティング形態だ。その後、1450年に印刷機が登場し、マスマーケティングとマスメディアの新時代が切り拓かれた。ダイレクトメール、新聞・雑誌、ラジオ・テレビと続き、とてつもない大人数をまとめてターゲットにできるようになる。

 だが、今では文字通り何千というラジオ局があり、無料で音楽を聴く方法もいくつもある。やすやすとチャンネルを替えられるというのに、はたしてラジオ広告をじっと聞いているだろうか。テレビにしても、好きなときに見ることのできるチャンネルが文字通り何千とあるばかりか、好きな番組を録画しておいてCMはスキップする技術もある。そのような中で、業界関係者や専門的な関心を持っている人は別として、わざわざCMを見るものだろうか。

いいねを集める技術2

自社製品の情報を広め、試用を促し、売上を増やす。

 答えはノーだ。昔のようなやり方でテレビCMを見たり、ラジオ広告を聞いたりする人はもう誰もいない。マーケティング業界もメディア業界もかつてない速度で変化しているのだ。

 それではマーケターはどうすればいいのか。どうすれば自社製品に関する情報を広め、試用を促し、売り上げを増やすなど、諸々のマーケティング目的を達成することができるのだろか。どうすればうっとうしがられず、いわゆる「いけ好かない」存在になることなく話題にしてもらえるのだろうか。

 悲観することはない。あなたのところのようなブランドに関する話はこれまで以上に人々の口にのぼっているし、ソーシャルメディアのおかげで噂はこれまで以上に早く広がる。だから、あなたはただ消費者の声に耳を傾けて反応を返し、その言葉をうまく使って行動を起こさせるだけでいい。

「いいね!」ボタンは毎日20億回以上押されている。

 ソーシャルメディア革命により、世界中の消費者がかつてないほどの大きな声を手に入れた。

 同時に、企業側は透明性と反応性を高める必要に迫られた。そして、ソーシャルメディアの台頭と世界規模の景気後退とが相まった結果、企業や組織、政府機関はコストをかけずに目標を達成する方法を見つけ出していった。つまり、テレビ、ラジオ、印刷物といった下り坂のメディアにこれ以上の資金を投じることなく、メッセージを発信し、話題にしてもらう方法だ。

 クチコミマーケティングは最も純粋で優れたマーケティング手法だといつの時代も考えられてきたが、ソーシャルメディアもそれが事実であることをさまざまな方法で実証してきている。人間は好ましく思えて信頼できる相手であれば、それが人であってもブランドであっても組織であっても、たとえ政府であっても、分かち合い、つながり合うことに喜びを感じるのだ。

 2010年4月に導入されたFacebookの「いいね!(like)」ボタンは既に300万以上のウェブサイトに設置されている。10億人を超えるFacebookユーザーは、このボタンをクリックすることで、その企業、組織、記事、考えなどに対する支持や賛同の気持ちを表明できる。友達の赤ちゃんの写真から『ニューヨーク・タイムズ』紙の記事、地元団体の動画、国際的ブランドのコンテストまで、「いいね!」ボタンがクリックされている回数は日に20億回を超える。

短期的には信頼を高め、長期的に新世界の勝者となる。

 こうした数字も驚異的だが、企業側にとっても消費者にとっても最も重大なのは、ソーシャルメディア革命がウェブに新たなパーソナライズをもたらしたことだ。友達もしくは友達の友達が何を「いい」と思っているのかをわかるようにしたことが、「いいね!」機能に強力な力を授けている。

 あなたに赤ちゃんが生まれたとしよう。テレビでベビーカーの広告をしていても、あなたは意に介さない。というより、Facebookで50人、500人、あるいは5,000人が新商品のベビーカーに「いいね!」をしていたところで何とも思わないだろう。だが、自分の友達がそのベビーカーに「いいね!」をしていたら、そのメーカーへの信頼が生まれ、安心して購入する可能性が高まるのではないだろうか。

 この「いいね!」機能を取り入れているのはFacebookだけではない。YouTube(ユーチューブ)、LinkedIn(リンクトイン)、Pinterest(ピンタレスト)、Instagram(インスタグラム)、foursquare(フォースクエア)もコンテンツへの賛意を示す機能を追加済みだ。

 またTwitter(ツイッター)には「お気に入り登録」ボタンがあり、特定のツイートに対する賛意を表明するのに使うことができる。信頼を置いている知人が「いい(like)と思える(able)」、すなわち「好ましい(likeable)」と判断したコンテンツ、企業、製品、考えなどが、今ではウェブを探せば簡単に見つかる。「いいね!」ボタンを押すに値する企業や専門家こそが短期的に見れば信頼を高め、長期的にはそれぞれの分野で新しいウェブ世界の勝者となるのだ。

いいねを集める技術3

ブランディングを改善した企業・組織は250を超える。

 ソーシャルメディアとクチコミマーケティングの会社、ライカブル・メディアの共同設立者でありCEOでもある私は、ソーシャルメディア技術を他に先駆けて利用し、ソーシャルメディアと「いいね!」が起こした革命をこの目で見てきた。

 ライカブルのミッションは、企業もしくは非営利団体、政府機関が透明性と反応性を増すためのお手伝いをすることだ。うまく使いこなすことさえできれば、ソーシャルメディアはマーケティングのみならず、広報、販売、顧客サービス、経営管理の各部門にまさに劇的な変化をもたらす。さらに、閉じこもっていた殻を破り、内部的にも外部的にも他者とつながることが可能になる。

 1-800-Flowers.com(ワン・エイトハンドレット・フラワーズ・ドットコム)、ベライゾン、ニュートロジーナ、ニューヨーク市保健局、全米多発性硬化症協会など、我々がソーシャルメディアを利用してブランディングの改善に取り組んできた企業・組織は250を超える。

 大小さまざまな組織が本当の意味で聞くこと、価値を提供すること、顧客に反応することを学んできた。そして、オンライン/オフライン問わず共有する価値があり、文字通りの意味でも象徴的な意味でも「いいね!」と思うコンテンツをソーシャルメディアで共有し、命を吹き込んでいるのである。

何千、何百万という無数の相手と並行して会話する。

 ソーシャルメディアというのは世界最大のカクテルパーティーのようなものであり、そこでは誰もが他人の話に耳を傾け、気になるテーマについて話している誰かの会話に加わることができる。

 だが、リアルの世界とネットの世界とでは、大きく異る点が2つある。1つ目、ネットに飲み物はない。当たり前だ。2つ目、こちらは真面目な話である。リアルなパーティーの場合、ひと晩では一部の人と少し話せばもう終わりだが、ネットならソーシャルネットワークを通じて何千、あるいは何百万という相手と無数の会話を並行して持つことができる。

 どちらの「パーティー」にしても、好ましく思える人もいればどうも好きになれない人もいる。自分のことばかり話し続ける人に出くわすかもしれないが、逆に聞き上手で、あなたの話に関心を示してくれる人との出会いもあるだろう。話し上手な人もいれば、退屈極まりない人もいる。もう一度会いたい、場合によっては一緒に仕事をしたいとまで思えるのはどの人だろうか。自分の会社や製品の素晴らしさをベラベラしゃべりまくるセールスマンだろうか。それとも、あなたの抱える問題に耳を傾け、素直に意見を述べ、もしかすると笑顔にもさせてくれる人だろうか。

同業種の中で最も儲かる存在となることができる。

 カクテルパーティーで交流して楽しい人、面白い人とはどういう人か、私たちには直感でわかる。だが、ソーシャルメディアというカクテルパーティーで好かれる方法となると、たいていの企業が手探り状態だ。自社製品のことを話し続ける例のセールスマン、感心させたくて頑張り過ぎている人、他人の話を聞かず、何の話がしたいのかも尋ねず退屈極まりない話を続ける人などと変わらない行動をとっている企業も、いまだに多く存在する。

 だが、良い報せがある。企業としてのあなたには、もっとうまくやるチャンス、カクテルパーティーの「例のあいつ」のようではない組織へと生まれ変わるチャンスがある。どうすればパーティーで引っ張りだこの人物になれるのか、その同じルールを適用することだ。そうすれば、同業種の中でも最も好ましい、そして、最終的には最も儲かる存在となることができる。

 注意深く話に耳を傾け、隠し事をすることなく透明性を保ち、打てば響く反応性の高さを見せ、信頼に足る本物としての真正性を守り、素晴らしい物語を話して聞かせる。いずれもパーティーの主役となるために必要な素質だが、組織としてもこれらが備わっていれば、ソーシャルネットワークで好かれる存在となれる。

いいねを集める技術4

友達がいいね!した店に痛みをとってもらいに行く。

 ある朝、目が覚めると腰がひどく痛んだ。この町に引っ越してきて以来、あなたは新しい医者を探すのをずっと先延ばしにしてきた。前に診てもらったのはいつのことだろう。そのツケが回ってきたというわけだ。もうこれ以上ほうってはおけない。今すぐカイロプラクティック院を探さなくては。

 ノートパソコンを引き寄せて[Google.com]にアクセスし、「腰痛」と打ち込んで、町の名前も入力する。画面に並んだのはトップに表示してもらうためにGoogle(グーグル)社に対価を払っているカイロプラクティック院10件と、自然検索(オーガニックサーチ)結果であるその他の数十件。

 だが、これほどの緊急事態にまったく知らないところに飛び込むなんて、本当にそれでいいんだろうか。あなたの頭にふと別の考えが浮かんだ。Facebookに行き、「腰痛」で検索をかける。今度はリストのトップに出てきた医院に、あなたの友達3人が「いいね!」と言っていると表示されている。その次のカイロプラクティック院にも友達2人が「いいね!」と言っていた。「うまいぞ。友達がいいって言ってるんだったら信用できるな」。あなたはすぐに電話を入れ、推奨された医者、すなわち友達が「いいね!」しているところに痛みをとってもらいにいく。

ソーシャルは大枚をはたかず勝利を手にできる。

 こうした話をよく耳にするとはまだ言えないが、Facebookとソーシャルグラフ(人間関係を示す相関図)を利用した検索や商売は夢物語ではない。

 考えてみてほしい。医者、弁護士、修理工、その他何であれ、大切な製品やサービスに関わる意思決定をしようというときに、あなたは広告やGoogle検索の順位に基づいて判断するだろうか。信頼する友の選定眼や推薦に基づいて判断できる場合はどうだろうか。

 Facebookなどのソーシャルメディアのおかげで、後者の判断が飛躍的に容易になった。これはどのような規模のビジネスにとっても、まさに天地がひっくり返るようなことである。この新たなコミュニケーションの世界では、嬉しいことに誰の前にも可能性が広がっている。素晴らしい製品を作り、一部の人々に情報を流し、友達と共有しやすい環境を整えておけば、大枚をはたかずして勝利が手に入る。

予算規模、企業規模、組織規模は小さくても勝てる。

 ほんの数年前、例えば新しいレストランに行ってみて気に入ったとき、友達何人かと家族、場合によっては近所の人たちにもその経験を伝え、共有したものではないだろうか。心底気に入れば、1週間ほどで10~15人に絶賛して回ったかもしれない。今日では200人のFacebook友達、300人のTwitterフォロワー、150人のLinkedInコンタクトに対して、パソコンやモバイル端末で1回クリックするだけでその気持ちを伝えることができる。おいしそうな写真、もしくはまずそうな料理を投稿して、Pinterest、Instagram、Google+(グーグルプラス)を使っている何百人と共有することもできる。

 企業規模、組織規模、あるいは取引先の事業規模にかかわらず、本書で紹介する簡単なソーシャルメディアのルールを守れば、あなたも成果を手にすることができる。ただし、ソーシャルメディアやFacebookの世界ではメッセージの一斉伝達だの、リーチやフリクエンシー(※広告の接触頻度)の最大化だの、といったことは関係ないということを、経営幹部のみならずコミュニケーションを担う全員が理解しておかなければならない。会話に接し、耳を傾け、エンゲージメント(結びつき)を高め、力を与えるのがソーシャルメディアでのマーケティングだ。予算も声も大きい者が勝つという時代は終わった。最も賢く、柔軟性のある聞き手が勝者となる。

いいねを集める技術5

ソーシャルメディアに関する3つのキー・ポイント。

 先に進む前に、ここでソーシャルメディアに関する3つのキー・ポイントを押さえておきたい。どこかで聞いたかもしれない幻想に惑わされ、誤った期待を抱くことのないようにするためだ。

1.ソーシャルメディアを使っても製品、企業、組織の粗悪さを補うことはできない:
 あなたの扱うサービス、製品がひどいものであれば、ソーシャルメディアは力になるどころか悪い噂をあっという間に広めてしまい、掲げている理念を損なう結果となる。

 朗報は、ソーシャルメディアをうまく使えば、問題のある製品、従業員、プロセスを迅速に発見できるということだ。経営もしくはマーケティングに秀でたあなたなら、大打撃を被る前にそれらの問題を片付けられるだろう。

2.ソーシャルメディアを使っても一夜にして大儲けすることはできない:
 成功には時間がかかる。人々の話題にのぼることやリンクを張られることが増え、アクセスが増加し、最後に売り上げが伴ってようやく成功したと言えるのだ。

 本書を読むだけで必要なツールがすべて手に入り、たちまちソーシャルメディアでがっぽり稼げるようになる………と言えればいいのだが、そのようなことは当然あり得ない。後ほど「好かれるソーシャルメディア」への投資によりリターンを獲得した様々な事例を紹介するが、どのような場合であっても、勝利への道は平坦ではない。リレーションシップの構築が関わってくるのだから、時間がかかって当然である。

3.ソーシャルメディアは無料ではない:
 持続的な成長を手に入れるには、時間および/または金がかかるものだ。Facebookなど話題にする価値のあるソーシャルネットワークが無料で利用できることから、ソーシャルメディアは無料だ、もしくはあまりコストがかからないと思っているマーケターが多い。確かに、この20年間テレビCMに定期的に注ぎ込んできたような莫大な金額をソーシャルメディアに投じるのは、企業規模にかかわらずほぼ不可能だ。

 だが、好かれるソーシャルメディアを目指した計画を策定し、実行するには相当の時間と労力が必要である。結局のところ、マーケティング部門や広報部門だけが頑張れば済むものではなく、企業全体から代理店、ベンダーまで、すべてを統合した計画が求められるのだ。

ソーシャルメディアの存在能力を最大限に活用する。

 ソーシャルメディアの双方向性とその存在能力を最大限に活用することの大切さについては、本書の中で繰り返し述べている。

 言わずもがなのことだが、メディアとしての書籍は原則として片方向だけだ。著者が書き、読者が読んで消化する。だが、ソーシャルメディアを専門とする私が、はいそうですかと受けれ入れるわけにはいかない。

 そこで、あなたと約束しよう。本書を読んでいて質問したい、説明が必要だ、意味がわからなかった、あるいは、書かれていることや戦略に関して異議がある、そんなときはソーシャルメディアを通じてぜひご連絡をいただきたい。私への質問は[Facebook.com/DKerpen]、あるいは[Twitter.com/DaveKerpen]まで。もっと早く答えが欲しい場合、私自身が回答しなくてもよいならライカブル・メディア社のページ[Facebook.com/LikeableMedia]に投稿してもらえれば幸いだ。あるいは、[Twitter.com/LikeableMedia]もしくは[Twitter.com/LikeableBook]宛てにツイートしてくれてもいい。こんなことを聞きたいのは自分だけだろうと思ったとしても、似たような疑問を抱えた人はたくさんいるはずだ。遠慮なく質問して、私に応じる機会を与えていただければと切に願う次第である。

魅力溢れるブランド形成のための18の戦略。

 Facebook、Twitter、ブログ、YouTube、LinkedIn、foursquareなど、ソーシャルメディアのためのサイトやツールは、過去のどのコミュニケーション技術にも見られなかったほどの凄まじいスピードで革新、変化を続けている。主なネットワークがどのような仕組みになっているのか、マーケティングや経営にどう活用できるのか、基本的な部分を理解しておくのは大切なことだ。

 そこで、ソーシャルメディアネットワークを通じて魅力溢れるブランドを形成するための18の戦略に入る前に、最新情報をまとめた付録編に目を通してもらいたい。Facebook、Twitter、Google+、Pinterest、Instagramといったソーシャルネットワークをはじめ、ブログやその他の重要なツールについても要点をさらえるようになっている。どのように考え、どのようにマーケティングや広告に使うのが一番なのかについて、多くのインサイト(※購買行動の核心やツボ)を獲得できるだろう。復習するまでもないなら、このまま先に進んでもらって結構だが、深く読み込むためにも、付録編を手引きとして使用することをぜひ検討してほしい。

 ソーシャルメディアのためのサイトやツールは、来週にもまたどこかが変わっているに違いない。だが、本書で論じる18の戦略は微塵も揺るがず、ソーシャルメディアを活用して、透明性、反応性、エンゲージメント性、収益性を高めようとするあなたの力となるはずだ。

 私とこの道を進むことにした、あなたの決断に感謝したい。ともにライカブルな存在、好かれる存在となろうではないか。

※Facebook、Twitter、LinkedIn、YouTube、Google+、Pinterest、Instagram、foursquare、iPhone、Androidなどは米国およびその他の国における商標および登録商標です。

(90日間返品保証付・通常配送無料)

目次・章立て。

はじめに ソーシャルメディア革命 新時代の潮流に乗り遅れるな ……… 001
アダムとイヴによるソーシャルメディアの始まり ……… 003
ソーシャルメディア革命がもたらしたもの ……… 005
カクテルパーティーの世界で人気者になるには ……… 008
声が大きい者が勝つという時代は終わった ……… 009
ソーシャルメディアの可能性と限界 ……… 011
古いメディアもソーシャルになれる ……… 012
魅力溢れるブランド形成のための18の戦略 ……… 013

Part1 ターゲティング
Chapter1 顧客の声を聞く そして、聞くのを決してやめないこと
誰もが話を聞いてもらいたがっている ……… 025
耳を傾けることで、あなたは何を得られるか ……… 026
耳を傾けなかった場合の代償 ……… 030
聞くのを、最後までやめてはいけない ……… 032

Chapter2 ターゲット 何億人の中から意中の相手を絞り込む
Facebookなら、お好みのままに絞り込める ……… 042
LinkedInで最大効果を狙うなら、専門家に絞るといい ……… 043
Twitterなら実際の発言でターゲティングできる ……… 044
ターゲットについてどこまで理解できているか ……… 047
B2Bターゲティングでは、ファンの数より中身が重要だ ……… 050

Chapter3 消費者の視点 どの立脚点で、考え行動するか
顧客が本当に欲しいと思うものは何か ……… 055
消費者が好きなものを知る ……… 061
ブランドではなく、顧客にまつわることを重視する ……… 062

Part2 エンゲージメント
Chapter4 「 いいね!」の獲得 顧客をファンにすることから始まる
今や、「いいね!」はリンクよりも重要だ ……… 072
では、どうやったら「いいね!」を獲得できるのか ……… 073
長期的視点で大きなリターンを得る仕掛け ……… 077
既存顧客をファンにすることから始めよう ……… 080

Chapter5 エンゲージメントの追求 顧客と対話できる関係を作り出す
赤ん坊との一方的な会話には終止符を打とう ……… 084
顧客とのリレーションシップを育てる ……… 085
言うは易し、行うは難し ……… 090
エンゲージメントが重要なのは、企業だけではない ……… 091

Chapter6 苦情への対応 否定的なコメントにどう対応するか
否定的なコメントの受け止め方 ……… 097
顧客をクレーマーにしないための表と裏のレスポンス ……… 100
クレーマーもサポーターへ替えられる ……… 103
レスポンスには、嬉しい驚きを届けたい ……… 105

Chapter7 良い評判 好意的なコメントには感謝で返す
「ありがとう」を伝えよう! ……… 109
賛辞を広める絶好のチャンス ……… 112
それで終わりではない、会話は永遠に続く ……… 113
ブランドアンバサダーに活躍の場を与える ……… 115

Chapter8 信頼 真正性を打ち出す
目指すは、ミュージカルではなく即興劇である ……… 124
真正なインタラクションを図る ……… 125
真正性が信頼を生み、ニセモノ臭さは不信を生む ……… 128
ソーシャルネットワーク内で好かれる著名人の条件 ……… 131

Chapter9 正直さと透明性 情報開示は時代の要請である
求められるのは、可能な限りの正直さと透明性 ……… 137
どこまでオープンであればいいのか ……… 142
行政こそ情報開示が求められる ……… 143

Chapter10 質問の力 顧客との絆を深めるやりとりの仕方
あなたからたくさん質問する ……… 148
高いエンゲージメントを生む投稿とは ……… 152
クラウドソーシングがもたらす3つの力 ……… 153
質問がコミュニティを機能させる ……… 155

Chapter11 価値の提供 無償で与えることに意味はあるか
無料で価値を提供することの意味 ……… 162
そのクーポンや割引は、価値ある申し出か ……… 166

Part3 語るべき物語
Chapter12 物語を始めよう 人の心をつかむベストな形とは
大きなバズを巻き起こした結婚式のプロモーション ……… 176
物語があなたの企業に命を吹き込む ……… 178
写真、動画の共有が、みんな大好き ……… 182
ぴんとこなければ新しい物語を作ろう ……… 183
語るべき物語は、どんな企業にもある ……… 185

Chapter13 物語の共有を促す 顧客をその気にさせるとっておきの方法
拡散速度と範囲が飛躍的にアップ ……… 191
製品やサービスにクチコミの力を組み入れる ……… 192
ソーシャルネットワーク自体の力で語らせる方法 ……… 193
熱狂的なファンを作る方法 ……… 194
認めることが物語のきっかけとなる ……… 195

Chapter14 顧客体験 好かれる会社になろう
組織として「ソーシャルメディア」を使いこなすには ……… 203
ウェブサイトとソーシャルメディアを可能な限り統合する ……… 207
コンテンツ、製品、サービスが簡単に手に入る移動販売車となる ……… 208
顧客サービスでは、好かれることが重要だ ……… 209

Part4 広告と物語
Chapter15 ソーシャルネットワーク広告 ターゲットへの強固なインパクト
ズバリ狙いを定めるFacebook広告 ……… 215
その他のソーシャルネットワーク広告 ……… 222
ソーシャルネットワーク広告の生涯価値 ……… 224

Chapter16 失敗を認めるブランド価値を守る確かな対応
過ちを犯したらやらなければならないこと ……… 231
企業が謝罪の気持ちを表すための最善の方法 ……… 232
避けられない過ちにどう備えるか ……… 232
ごめんで終わらせない ……… 234

Chapter17 興奮、驚き、喜び あなたが届け続けるべきもの
あなたは既にライバルに差をつけている ……… 242
商品シェア 誰もが何かを得て、あなたはすべてを得る ……… 247
機械に人間味を加える ……… 248

Chapter18 売り込むな! 買いやすい仕組み、買ってしまう流れを作る
目指すはシンプルで簡単な仕組み ……… 254
Facebookのセールスファネルにも販売は存在する ……… 258
ソーシャルネットワークで在庫セールス ……… 259
共同購入は、魅力的なインセンティブになる ……… 261
Facebookの流れに購入機会を結びつけるには ……… 262
1-800-Flowers.comを常勝に導いた先見性 ……… 263

おわりに 好かれる存在になるために ……… 265
ソーシャルネットワーク活用のためのキー・コンセプト ……… 266
本書はこれで終わるが、あなたはここからがスタートだ ……… 268

付録編 ソーシャルメディア入門 改めて学ぶソーシャルネットワーク
ソーシャルネットワークを最大限に活用したいなら ……… 272
Facebook:10億人の確かなネットワーク ……… 273
Twitter:リアルタイムのエンゲージメント ……… 282
YouTube:物語を伝えよう ……… 287
Google+:Facebookとの大きな違い ……… 289
Pinterest:コンテンツ集めに打ってつけ ……… 292
Instagram:スマホがあれば凄腕の写真家になれる ……… 296
foursquare:顧客が今いる場所に到達する ……… 297
LinkedIn:スペシャリストのネットワーク ……… 300
Tumblr:凄まじいまでのシェアリング ……… 302
ブログ:ブロガーは今や「メデイア」そのもの ……… 304
Flickr、MySpace、Yelp ニッチにつながろう ……… 308

90日間保証

 まずは、今日、試しにこの本を読んでみてください。 そして、この本に書いてあるたくさんのテクニックを試してみてみてください。

 そうすれば、今まで以上の売上アップが期待できることでしょう。もし、あなたが試しにこの本を読んでみて、気に入らないようでしたら、どんな理由があろうと、購入日より90日間以内に、商品を返品してくれれば、代金は全額お返しいたします。(通常5営業日以内)

著者紹介

 デイブ・カーペン(Dave Kerpen)

 ライカブル・メディア社の共同設立者兼CEO。ライカブル・メディア社は、ソーシャルメディアとクチコミマーケティングの専門企業として輝かしい受賞歴を誇る。さまざまなブランド、組織、行政機関、中小企業と共同で透明性、反応性、エンゲージ性、好ましさを高めるためのソーシャルメディアの活用に取り組んでいる。ビジネス誌『Inc.』による「最も急成長した米国民間企業500社」に名を連ねる。ニューヨーク、ボストン、サンフランシスコにオフィスを構える。

(90日間返品保証付・通常配送無料)

2014-06-30 | Posted in 未分類No Comments » 

関連記事