購買選択の心理学 バリー・シュワルツ

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購買選択の心理学

なぜ顧客は買わないと決定するのか(バリー・シュワルツ著)

The Paradox of Choice: Why More Is Less

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チャルディーニの影響力の武器は護身用の本だったが。

 「ロバートチャルディーニの影響力の武器は、いかにして違法的な販売や詐欺、カルト宗教への勧誘などから身を守るかを心理学的に説いた一冊。裏を返せば、人に買わせるテクニックを応用して販売戦略や説得術として使うこともできた。

 これは本書にも言えること。バリー・シュワルツの購買選択の心理学は、顧客目線で、いかにして購買選択におけるストレスを軽減し、満足度の高い選択をするのか。自分自身の購買行動に後悔しないか、という方法を心理学的に問いている。これは、裏を返せば、いかにしてスムーズに、ストレス無く顧客にモノを購入してもらうのか。いかに自社の製品やサービスを購入した顧客の満足度を上げ、購入後に後悔させないか、という販売戦略やマーケティング戦略として使うこともできる。もちろん、悪用は厳禁だが」

(東京都 42歳 経営者 保険代理店業)

6つあった商品を3つ削ったらサイトの売上が2倍に。

 サイトに並べていた6つの商品を3つに削ったら売上が2倍に。商品数削っただけなのにCVR(成約率)が激増しました。どうしても足し算思考になりがちだけど、無駄を削ぎ落とすとノイズも減る。

(千葉県 37歳 ネットショップ経営)

なぜ、顧客は「買わない」と決定するのか?

 ジーンズの購入、コーヒーの注文、フライトの選択、医者の選択、保険の設定など。私たちは圧倒的な数の選択に囲まれ、日常の意思決定は複雑になるばかりだ。選択肢が増えればその分自由度は増し、選択の質が向上し、満足感も高まると思われてきた。

 ところが、あまりにも過剰な選択肢は人々の満足度を低下させ、ときに人を不幸にすることもある。先進国でうつ病や自殺が爆発的に増えたのは、豊富な選択肢による期待度の高まりに起因するとされる。

 本書は多様な選択肢がなぜ幸福感の低下につながるのかを明らかにする。そして、本当に必要な選択によって満足感が高まるまでを、11段階の実践的なステップで紹介していく。

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顧客に「買わない」と思わせないための方法とは?

 6年ほど前、ジーンズを購入するためGAPに出かけた。いつもボロボロになってから買い替えるので、前回購入したのは随分前だ。すると親切な若いスタッフが声をかけてくれた。

 「何をお探しですか?」
 「ジーンズをください。サイズは32-28」と伝えると、
 「スリムフィット、イージーフィット、リラックスフィット、バギー、エキストラバギーがございますが?」と返され、「ダメージ加工はストーンウォッシュ、ケミカルウォッシュ、ディストレスのどれがお好みでしょうか?ボタンフライとジップフライ、フェードブルーとレギュラーブルーの違いもございますが?」と続いた。

 私は絶句し、「ふつうのジーンズであればいいんです。以前はそれしかなかったでしょ」とあわてて答えた。スタッフは知らないようだったが、年長者に相談して以前の「ふつうの」ジーンズを理解し、商品のほうへ案内してくれた。

欲しいと思っている商品かどうか自信が持てない。

 だが、それだけの種類を選べるようになっているとすれば、「ふつうの」ジーンズが、自分の欲しいと思っている商品かどうか自信が持てない。イージーフィットやリラックスフィットのほうがゆったりしているのかもしれない。私が最新ファッションに無頓着なのは店員に知られてしまっていることだし、もう少しジーンズ選びを続けた。

 店員のところに戻ってふつうのジーンズとリラックスフィット、イージーフィットの違いを聞くと、それぞれの絵を見せてくれたが、違いがわからないので全部試着することにした。それぞれを手に試着室に入る。鏡に映る自分の姿をじっと見ながら、細かい説明を聞く。どれを選んでもほとんど違わないが、どれかひとつがふさわしいはずだと思えてきて、それを探し出す気になっていた。

 しかし無理だ。最終的にイージーフィットを選んだ。というのも「リラックスフィット」にすると、ウエスト周りが目立ちはじめ、それを隠す必要があるみたいだからだ。

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顧客にストレスをかけずモノを購入してもらうには?

 選んだジーンズはぴったりだったが、ジーンズ1着買うのに何時間もかかるというのは問題だという思いがよぎった。あらゆる選択肢を用意することによって、確かに店側は顧客の多様な好みや体型に対応している。その一方、選択肢の広げすぎによって新たに対応しなければならない問題を作っている。

 選択肢が増える前、私のような顧客は、フィット感が不十分なもので妥協しなければならなかったが、少なくとも5分で買い物を終わらせていた。だが今では判断が難しくなり、時間とエネルギーを費やして大いに自己判断を疑い、不安や心細さと向き合わなければならない。

 ジーンズの購入はそれほど深刻な問題ではないが、そこには本書で取り上げていくもっと本格的なテーマが隠れている。

 選択肢がなければ人生は耐え難い。選択肢が増え、現在のような顧客本位の文化になれば、それにともなう自主性、支配力、解放感は強大なプラス効果になる。

 ところが選択肢が増え続けると、マイナス効果があらわれるようになる。その状況が進めば、マイナス効果が拡大して負担になる。そうなると選択の自由ではなく、不自由である。むしろ威圧かもしれない。威圧?ジーンズの事例の後に聞くと大げさだが、本書のテーマは消費財の選択に限っているわけではない。

誤った判断や不安、ストレス、不満を避ける方法。

 これから取り上げるのは、教育、キャリア、友情、恋愛、子育て、宗教など、人生のあらゆる領域で直面する選択である。確かに選択によって人生は充実する。自分の運命をコントロールできるようになるし、ほぼ100%自分が望む状況を手に入れられる。選択は自主性の基本要件であり、幸福の根源でもある。健全な人間は、自分の人生の方向性を決めたいと思っている。また、決めるべきだ。

 しかし、“一定”の選択肢の存在が望ましいからと言って、選択肢が“増えれば”よいというわけでもない。これから説明するように、選択肢が過剰になれば代償が生じる。今や自由や自主的判断、多様性の尊重が文化になり、あらゆる選択肢をすべて検証しようとする。だがすべての選択肢にこだわりすぎると、誤った判断や不安、ストレス、不満、うつ症状にさえつながる。

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他に費やすべき時間やエネルギーを奪われないために。

 かつて著名な政治哲学者アイザイア・バーリンは、「消極的自由」と「積極的自由」の区別という重要な概念を提唱している。消極的自由とは、制約からの自由、他者に指図される状況からの自由など「~からの自由」である。一方で、積極的自由とは、みずからの人生を描き、生きがいのある有意義な人生にする機会を手に入れられるようにする「~への自由」である。それ2種類の自由は連動する場合が多く、「~から自由になりたい」と望む制約が強固であれば、おそらく「~への自由」は達成できない。だが、いつもそうとも限らない。

 ノーベル賞を受賞した経済学者で哲学者のアマルティア・センは著書『自由と経済開発(Development as Freedom)』で、選択によって豊かになるのか奪われるのか、動きやすくなるのか動きがとれなくなるのか、自尊心が高まるのか傷つけられるのか、コミュニティーへの参加が可能になるのか妨げられるのかを自問すべきだとしている。

 自尊心、コミュニティーへの参加、自由な移動、豊かさには自由が不可欠だが、すべての選択が自由につながるわけでもない。とりわけ財やサービスの選択肢の増加は、大切にすべき自由にほとんど、あるいはまったく貢献しない可能性がある。実際には、ほかに費やすべき時間やエネルギーを奪い、自由を侵害しているかもしれない。

選択の自由がもたらす満足度低下への対応策を紐解く。

 現在、多くの人々は、選択の自由が広がっているにもかかわらず、満足度はますます低下しているのではないだろうか。その原因を説明し、対応策を示すのが本書の目的である。

 そのような状況は軽視できる問題ではない。今日の社会では、個人の自由と自主性は尊重され、選択の自由は根源的な価値観である。だが、選択肢が増えれば必然的に自由になるとでもいうような、自由と選択との過度な結びつけは、私たちのためにならないはずだ。

 むしろ重要案件に関する適切な選択方法を学ぶとともに、あまり重要でない案件に対する過度な配慮による負担を軽減すれば、最大限の自由を享受できるはずである。

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選択の自由による長所を享受し、短所を回避する方法。

 これらの考え方に基づいて、第1部(PART1)では最近の日常生活における選択肢の増加について検証し、第2部(PART2)では私たちがどのように選択し、的確な選択がどれだけ難しく、負担が大きいかを説明する。正しい選択は、最善の選択しかないという信念の人物、本書で「追求者」と呼ぶ人たちには特に難しい。

 第3部(PART3)では、選択が負担になる仕組みと理由をテーマに、選択機会の増加が本当に幸せにつながっているのかを考え、そうではない場合が多いことを確認する。また、選択肢の増加が満足感の向上につながらない心理的プロセスとして、順応、後悔、逸失機会(いっしつきかい)、期待の上昇、他者との比較による劣等感についても取り上げる。そこから、実際には選択肢の増加が最近のうつ病の増加原因となり、西欧世界に多大な影響を与えている可能性があるという結論を導き出す。

 最後の第4部(PART4)では、選択の自由によるメリットを享受し、デメリットを回避するための提言を示したい。

心理学、行動科学の研究成果から学ぶべき重要な教訓。

 本書では、選択と意思決定に関連する心理学者や経済学者、マーケットリサーチャー、行動科学者たちの多方面にわたる研究成果を解説している。そこには学ぶべき重要な教訓があり、なかには疑問を持つもの、直感的に受け入れ難いものもある。たとえばこれから説明するのは、次のような考え方である。

1.選択の自由を制約することに反対するのではなく、主体的に一定の制約を設けるほうが満足できる。

2.最高のものを求めるよりも「まあまあ」なものを求めるほうが満足できる(「子供たちは『まあまあ』であればいいんです」という親の声を聞いた経験があるだろうか?)。

3.選択の結果に対する期待を下げるほうが満足できる。

4.選択をやり直せないほうが満足できる。

5.周囲の人たちの行動に対する関心が低いほうが満足できる。

間違った考えを正し、真の満足度向上を達成する。

 これらは「選択肢が増えれば満足度は高まる」「よい結果につなげる最善策はきわめて高い基準の設定である」「選択を覆(くつがえ)せる手段があるほうがよい」という一般的見識に逆行する。本書で明らかにしたいのは、そのような一般的見識が間違っており、少なくとも意思決定における満足には当てはまらないことである。

 概説したように、まず検討していくのは、選択が負担になり、決して無視できないような数々の行動領域に影響を及ぼしている状況である。ただし「負担」の意味を明らかにするために、まず最低限の選択ニーズから説明をスタートして話を進めていきたい。

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目次・章立て。

PROLOGUE パラドックスの仕組みーー過剰な選択肢は幸せにつながるか?

Part1 機会 選択の自由
Chapter1 人生を複雑にするもの ショッピングで直面する事態
スーパーマーケットの商品棚から見える景色 ……… 20
電化製品の買い物ならではの深刻な影響 ……… 24
カタログショッピングは、増殖する!? ……… 25
知識のショッピングモールと化した大学 ……… 26
テレビを見れば、選択肢の未来の姿がある ……… 29
選択肢が増えたことで、楽しみが減っている!? ……… 30

Chapter2 新たな選択の時代 人生は「選択」によって出来上がっている
公益サービスは増えたが、誰も選ぼうとしない ……… 36
医療保険の選択を市場にゆだねることの危険性 ……… 38
急激に増加する年金プランの選択肢 ……… 39
医療を選ぶ主導権は、医者から患者へ移ったが ……… 42
美しさも選択できる時代になった ……… 45
働き方の選択がもたらすチャンスと代償 ……… 46
愛し方の選択は難題だらけ!? ……… 48
天の恵みだった宗教から、自らの人生観で選択できる時代へ ……… 50
自分が何者であるかさえも選択できる ……… 53
人生のあらゆることが選択である ……… 54

Part2 選ぶーー満足の度合い
Chapter3 賢明なる判断 的確な選択のためにやるべきこと
目標設定の難しさ ピーク・エンドの法則 ……… 59
どこからの情報を収集するか ……… 63
質の高い情報はどこにあるのか ……… 64
情報を正しく評価できるのか ……… 66
「利用可能性」が判断を誤らせる仕組み ……… 67
何と比較するかによって評価は変わるーーアンカリング ……… 71
言葉によって選択が変わるーーフレームと計算 ……… 73
損失は利益よりも大きく感じられるーープロスペクト理論 ……… 77
選択を間違えるとき、払うべき代償 ……… 83

Chapter4 最高の選択肢 許容するべきはどこまでか
追求者か満足者かがわかるチェックリスト ……… 88
追求者と満足者の幸福の対価 ……… 94
後悔する追求者 ……… 95
追求者の姿勢は、よい判断につながっているか ……… 96
「追求者」とは「完璧主義者」のことか ……… 99
こだわりのある領域では、誰もが追求者となる ……… 100
追求者にとって、選択の負担は悪夢である ……… 101
なぜ追求者になってしまうのか? ……… 102
過剰な選択が追求者をつくるのか? ……… 104

Part3 パラドックス 選択への苦悩
Chapter5 選択は幸福につながるかーー自由と自主性の恩恵
選択には3つの価値がある ……… 108
何が幸福度を高めるのか ……… 114
時間の負担が増え続けている ……… 118
状況から離脱するか、不満を発言するか ……… 120
二段階決定が選択の負担を軽減する ……… 122
欲しいものと好きなものは、同じではない ……… 124

Chapter6 トレードオフと機会費用 心理的負担を生むメカニズム
どんな選択にも機会費用は避けられない ……… 129
トレードオフに向き合う心理 ……… 132
トレードオフが選択を拒否させる場合 ……… 135
トレードオフでは、不快な感情が誤った判断をさせる ……… 140
機会費用の蓄積によってマイナス効果が生じる ……… 141
選択の理由を考えると判断が変化する ……… 146
人類の歴史が、選択を難しいものにしている!? ……… 151
判断をやり直せるとき ……… 152
トレードオフと機会費用の負担を減らす ……… 154

Chapter7 後悔 もしも、あのとき……
不作為バイアスが働くとき ……… 158
「ニアミス」が後悔の度を高める ……… 159
結果に対する責任を感じるケースとは ……… 160
非現実の仮想世界では後悔も際限なく増えていく ……… 161
的確な判断をしたのに、なぜ後悔するのか ……… 163
後悔したくない思いは、行動にどんな影響を与えるか ……… 166
後悔を避けたいという願望が生む選択 ……… 166
サンクコストに敏感になるのは間違っている ……… 169
魅力的な選択肢が多ければ、後悔する機会も増加する ……… 171
後悔にプラス効果はあるのか? ……… 173

Chapter8 順応 なぜ落胆するのか
新しい経験が、以前は心地良かった快楽の水準を変えてしまう ……… 178
快楽は安楽に変わり、喜びも低下する ……… 179
将来の感情を正確に予測できるか ……… 181
順応が短期間で起こるとコストが報われなくなる ……… 184
順応による落胆をコントロールするには ……… 186

Chapter9 比較 判断基準が過剰な社会での選択
食事への向き合い方も、評価を左右している ……… 189
中間点がどこかによって、快楽度が影響を受ける ……… 191
高い期待がもたらす「落ちる恐怖」 ……… 192
他者との比較が災いになるとき ……… 195
正しい池選びーー地位をかけたレースで幸せになる ……… 197
生活が実質的に改善しても満足度が低下する背景 ……… 198
「局地財」を望めば、激しい生存競争は避けられない ……… 199
幸せな人ほど周囲との比較を気にしない!? ……… 201
追求者と満足者のアプローチに見るパラドックス ……… 206
過剰な選択肢がある社会では他者との比較もやむを得ない ……… 207

Chapter10 自分を責める 過剰な選択肢がうつ病につながるとき
自らコントロールできないことが強い無力感につながる ……… 211
どんな心理プロセスを経るかがうつ症状を左右する ……… 214
自由なはずの先進国で、自殺が急増している ……… 217
期待の上下が満足度に影響する ……… 218
個人主義の台頭が社会とのかかわりをなくしている ……… 219
“最高”だけが許される ……… 222
自主性という価値観の広がりが悪影響をもたらしている ……… 223

Part4 対策 正しく向き合う
Chapter11 幸福な選択 心理的負担をやわらげる11の方法
01.人生においてどの選択が本当に大切かを判断する ……… 229
02.受動的ではなく能動的な選択者になる ……… 231
03.「満足」を求めて「追求」を避ける ……… 232
04.機会費用を考えない ……… 233
05.決断を変えない ……… 235
06.「感謝」を練習する ……… 236
07.後悔しないようにする ……… 238
08.順応を予測する ……… 239
09.期待をコントロールする ……… 240
10.周囲との比較をやめる ……… 241
11.制約を歓迎する ……… 242

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著者紹介

 バリー・シュワルツ(Barry Schwartz)

 スワースモア大学の社会理論・社会行動学教授。ペンシルベニア州フィラデルフィア在住。代表的著書に『The Battle for Human Nature:Science Morality and Modern Life』『The Costs of living:How Market Freedom Erodes the Best Things in life』など多数ある。「アメリカン・サイコロジスト」をはじめとする一流専門誌にも多数投稿している。

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2014-06-18 | Posted in 未分類No Comments » 

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